ブレイクスルー

“History is not to learn but to make.”「歴史は学ぶものではなく創るもの」というヘッダーの宣言に見るように、私たちのチームでは、どのような形でもいいので道を創る仕事を心がけています。他の人が造った道を舗装したり、ただ通って行ったりはしないよう心がけています。私たちのチームからのブレイクスルーが最初に公表されたのは、UCLAの発明マガジンで、インプラントに機能性を付与するいくつかの技術が取り上げられました。

発明や発見のこつは?と聞かれることがあります。うまく言い表すことはできませんが、自然と長く向き合えば向き合うほど、本質が見え、そして、超自然が生まれることも可能だと思います。インプラントの光機能化は、まさにそうで、普通では起こらないシナリオを、素直な気持ちで自然の摂理から発想し、人工的に超自然な効果を発生させたものです。そして、大事なのでは、いつも自然体で自然と向き合うことです。教科書に書いてあること、他人から聞いたこと、固定観念や常識にとらわれた瞬間、純粋で深く透き通るアイデアや発想は濁ってしまいます。つまり、発見や発明とは、物差しがない時に、自然の長さや深さを自分なりに計って(つまり図って)、表現するものかもしれません。そして、長さでも深さでもなく、新しい表現手段を見つけなければならないことも多いのです。まるで、青色と赤色とかの定義がない時に、ものの色を表現するように。あくまで持論にすぎませんが。 


チーム紹介のページで述べたように私たちの専門性は、生体材料、界面科学、ティッシュエンジニアリングの分野にあると考えています。これまで私たちチームでは、メンバー全員の情熱と献身的な取り組みのおかげで、多くの発明・発見に恵まれましたが、3分野それぞれの中から、ひとずつ選ぶとすると、以下の3つがブレイクスルーの代表と言えるかもしれません。光機能化、ナノ技術、骨形成増強因子です。

しかし、ブレイクスルーというのは科学の発見だけでは、ブレイクスルーとは呼べず、道半ばなのです。まず、行わなければならないのは、個々の発見を最適に組み合わせて、テクノロジーのカバーできる範囲を広げ、そして、到達点を高くしていなかればなりません。それによって、あらゆる可能性を探究できますし、質の高い研究を排出できることで人々からの信頼も得ることができます。この点から、私たちは、ブレイクスルーの集合体を、「発明の引き出し」と呼んでいます。そして、さらに発明・発見を科学上のトランスフォーメーション、治療のパラダイムシフトとして、世界の人々と共有していくためには、さらに膨大な学術活動や啓蒙活動が不可欠です。私たちは、成功したチームでなく、価値あるチームとなるべく、メンバー一丸となって取り組んでいます。