教育活動

「大学教授は教育のプロであることが求められています」

学術とならんで、次世代を育成するために最も重要なのが教育です。大学には、その責任・職務において、最高レベルの専門性と質をもつ教育を提供することが求められています。従って、大学で教育を担当するものは、それで給料を得ているという明確なプロの意識と結果が求められるわけです。


UCLAにおいて、私は、歯科補綴学全般、つまり、総義歯、部分床義歯、即時義歯、そして、インプラント生物学、文献抄読などの教育を担当しています。具体的には、講義、そして、模型実習、臨床実習、技工操作の指導、そして、治療計画立案や文献の読解の指導などです。部分床義歯と即時義歯については、コースチェアといって、科目全体のデザイン、運営、採点などすべての責任者となっています。


米国の大学における教育では、その内容と運営について、学生と同僚の教官から常に採点されます。四半期ごとに、教育に関する多くの項目について評価され、批評を受けたり、いろいろな注文や要求も出されます。それらの評価に基づき、教授たちは毎年、教育内容を改善し、さらなる充実を目指します。評価結果が思わしくない場合、非常につらい立場に追いこまれる教授もいます。定期的に行われる教授の更新・昇進診査の際にも、教育力は大きなウェイトとしめます。


歯学の分野でもそうですが、年々進化する分野では、教えるべき科目や内容が減ることはありません。年々教育要綱のリストは増えていきます。従って、教授たちは、教える内容を減らさずに効率化することを要求されます。すべて電子化されている教材は、組み替えられたり、統合されたりしながら、毎年、洗練されていきます。最先端の研究成果が、すぐ翌年の教材に加えられることもしばしばです。教育は常にタイムリーで、最高品質なければならないと考えられています。私は、米国の大学では、教えるべき量は膨大であるにも関わらず、一科目にかけられる時間は、日本よりもはるかに短いと感じています。Teaching is learning. あるいは、The best way of learning is teaching. と言われるように、教育を通じて、教授も進化するという米国の姿勢には敬意を表します。私も、毎年、努力を続けていて、UCLAでコース責任者として教育に携わってから7年あまり、優秀教育賞として3度、表彰してもらったことは、何よりもうれしく、光栄なことだと思っています(上の写真)。